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色々感想 [読了]

ロックンロール七部作」 古川日出男
古川日出男的20世紀俯瞰像ロック編。「沈黙」では虚構の歴史を作り上げてたけど、今回は結構オーソドックスにまとめた感じか。続編というか現在進行形のロックユーラシア東部編も読んでみたいけど、それだとマンネリになるのかな。七部作のなかではロシア編が好きです。

話はずれるけど、同僚と「ライトノベル」の輸出というか海外出版の話をしていて、「ライトノベルと言うジャンルは輸出できるかもしれないが、作品としての翻訳販売は難しいよねー」という結論に達したのをちょっと思い出した。要は「イタリアのロックはカンツォーネとの区別がつかないよ」というところまでローカライズしないとなあ。ドラえもんやハリーポッターはその点やっぱり凄かったんだなあと。

ニート」 絲山 秋子

文藝春秋に載った「沖で待つ」とあわせて読みましたが、こういう恋愛とか関係性は私の周囲にはなかなか無いものなので、難解でした。人間年取ってくると想像力がなくなっていけないですね。この人の小説はやっぱり人付き合いの苦手な人が人恋しくなる瞬間とか、奢ったりすることで関係性に変化が起こるのが怖いとか、コミュニケーション周りのところが多い。そして私にはどうでもいい。彼女に会いに行くはずが新幹線途中下車しちゃう話ぐらいかな、面白かったのは。

グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

オーストラリアが流刑地だったころの話。現在グールドの数奇な運命と彼の描くところの海生生物の無表情な絵がいい感じです。出だしの一章からして無茶苦茶ですが、技巧派の小説ってこういう物だよなーと思わせる1冊でした。

11の物語」 パトリシア ハイスミス

10年ぐらい前に出版されてハイスミス再評価のきっかけとなったタイトルを文庫化。ハイスミス自身もカタツムリ好きだったとかのトリビアも有り。「ヒロイン」「すっぽん」の怯える子供という隠れテーマは(普通は子供の残酷さ、となるけど)も作者の実体験からきてるのか。むむ。この件に関して、ハイスミスの作品では悪意は概ね大人にあるような気がします。子供は結果として残酷なことをするけど、それは恐怖の裏返し。子供の残酷さ、悪意を書かせるとやっぱりサキのほうが上手いというか、彼がそういう子供だったのだろうなぁと思わせます。でもそういう人のほうが大人になってからは如才なさそう。サキと言えば、国内で出ていた翻訳は岩波文庫のが結構いいと思ってたけど、もう絶版なのかー。(アマゾンでは古本で1円で購入可)

銀齢の果て」 筒井康隆

筒井康隆は私にとっては永遠の文庫作家・・などと書いたらファンの方からは怒られてしまうのでしょうが、ハードカバーで読むのはしんどいなあ、という作家さんでした。正直こちらも文庫だったら! (なんというか岩波文庫みたいなもので、私はませた中学生は星新一、高校生は筒井康隆を通学途中のバスの中なんかで全冊制覇というのがカッコよかった時代に育ったのでそう思うんです。)


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