1月~2月上旬に読み終えた宿題本 [宿題本]
書評本では「SFの文法で書かれていないハードSF」みたいな紹介のされ方ですが、普通に理科系ファンタジーでいいと思うけどなあ。全体の構成とサイドストーリーの展開が「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」なのはご愛嬌でしょうか。この作品の弱点はとにかく「どこかで読んだことがあるような」印象が常に付きまとってしまうところ。手堅くまとまっているのが原因なのでしょうか?「家守綺譚」が耳袋、漱石、百けん(変換できない・・)川上弘美や、その他ファンタジー作品の系譜ながら、梨木ならではの味がでていただけに惜しいです。
同僚の条件付(笑)お勧め本。突っ込みどころ満載で大団円を迎えましたが、あれですな、外人のアニメ &ニポンオタクが書いた未来版「帝都物語」って印象。100%貶しているわけじゃないんですが、手放しで褒めたいってわけでもありません~。炭素本位制経済とか、ニューテクノロジーとかの仕掛けは凄い面白いし、ストーリーも流れ的には中だるみや破綻が無いんだけど・・。
ここからは個人的な好みになってしまうのですが、
1) キャラクターが記号的過ぎ。で、特定の2~3人だけ過剰に肉付けされていて、これはストーリー上必要なんだけどその作業が必要なキャラは実は他にもたくさんいる。
2) オカルト要素のからめ方が類型的。牛車とか小道具に懲りすぎ。
3) 天皇制の原始宗教的要素が無批判に取り入れられているのもちょっとなあ。凄い機能しているというところが納得できないなあ。
この辺が不満の主なところ。
あと、こういう近未来ものの難しいところって、SFに走りすぎると読者が限定されるし同時代シュミレーション要素をメインにするとストーリーにカタルシスを無理なく付与させるのが困難になるというところでしょうか。小松左京とか村上龍はその辺上手い。
あ、表紙の「雨後のヨーロッパ」は画家のメッセージと真逆の引用になってると思思います。
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